私たちの生活する都市に建てられたビルや家の建築には、様々な建築材料が使われています。その中で、人の健康障害に影響を与えると言われている物質がアスベストです。建築材料として比較的安価であり、耐熱性や防音性に優れていることから、工業製品や建築材料として多く利用されていました。ただ、人体に吸い込むことで、肺線維症や肺がんを発症するリスクがある危険性が確認され、2006年9月には労働安全衛生法施行令によって輸入や製造、使用が禁止されています。

近年建てられた物件は問題ないですが、2006年よりも前に建築された建物には、材料にアスベストが含まれている可能性があるため、解体工事などを行う際は、周囲に飛散しないように分析調査を行う必要があります。また工事以外にも物件価値を査定するときに調査を実施する場合も多いです。アスベストの分析には、調査会社や理研分析センターに依頼する方法があります。分析調査には、厚生労働省が定めた3種類の調査方法で行われます。

顕微鏡を用いたコストが安く短時間で結果が判明する「JISA1481-1」コストは高めですが、X線と顕微鏡を使った高度な技術を必要としない「JISA1481-2」X線で建築材料にどれくらいアスベストが含まれているか、含有率を検査する「JISA1481-3」があります。アスベストは、人体に吸い込んでも長期間の潜伏期間があるため、発症するまで年月がかかります。知らない間に健康障害を引き起こさないためにも、過去に建てられたビルなどを所有する方は早めの分析調査を依頼することが大切です。