アスベストとは石綿と呼ばれる鉱物繊維です。戦後は建築資材としてよく使われていたことがあります。アスベスト使用のピークは70年代から90年代ですが、現在もまだ建物内に残っている可能性がある材質です。建物の解体や改修などを行う際には、この石綿が材質として含まれていないか必ず検査をする必要があります。

日本では昭和50年に使用が禁止されていますが、古い建築物内部にはまだ残っている可能性があるからです。アスベストの繊維は非常に細かく、飛散しやすいという性質を持っています。人間の肺の中に入ったあとの潜伏期間も長く、肺がんや中皮腫といった深刻な病の原因となるのです。こうした理由から、解体作業などの際には検査が義務付けられるようになりました。

アスベストの検査に関しては、日々法律が変化する傾向があります。現段階では2021年4月から、石綿を使用した建築物のリフォームや解体を行う前に調査が義務化されました。2022年4月には、検査はより厳密なものとなります。解体工事部分の床面積が80平方メートル以上の工事、そして請け負い金額が100万円以上の改修工事を実施する場合は、事前調査結果の報告を行わねばなりません。

アスベストの検査は2023年にも再び法律に新しい規則が追加されることがわかっています。専門の診断資格保有者の育成も必要となるため、建築業界は今後もしばらくはこの石綿関連の調査や工事方法について敏感にならねばなりません。