一定規模以上の建物のリフォームや解体などを行う際にはアスベスト調査を実施して報告することが義務付けられていますが、一筋縄では行かないことが多くなっています。アスベストは吸引することで健康被害が懸念されていることから製造や使用は禁止されていますが、それから長き時代を経ていることから当時の資料が見つからないケースが散見されています。設計図や使用した建材のリストなどが発見されたなら話は早いですが、破棄や紛失などで見つけるのが困難になっているのがほとんどです。大半のケースでは該当する物件の所有者さえもどのような建材が使用されていたのか把握できていないことがあるだけではなく、施工を担当した業者が業界の再編の中で既に倒産していたり、他社に吸収合併されるなどして記録が残っていないこともあります。

それでも法令を遵守することは必須で、期日までに調査結果を提出しなければなりません。そんな時に出番となるのが専門機関の存在で、この世界に存在しているあらゆる物質を分析して、それが何であるかを突き止めることができます。アスベスト分析では当該物件の壁や天井などの建材の一部を採取して実験用の容器に密封して専門機関へ移送し、詳細な分析が実施されます。遠心分離機にかけて試薬と混合することで反応を見たり、X線などを照射して観察するなどあらゆる手段を講じます。

その結果、分析を依頼した物質がアスベストだと判明した場合には報告書に記載するのと同時に、万全の対策を行ってからリフォームや解体などの作業が安全に行われます。